出走表に記載されていたり、展示航走の時にアナウンサーの人が言ったりと競艇・ボートレースをしているとよく耳にするのが「チルト」です。
チルトという専門用語を聞いた事があっても実はチルトの事を知らないという人も珍しくありません。
今回は、競艇の「チルト」について分かりやすくまとめました。
競艇の「チルト」はモーターの角度
競艇・ボートレースの「チルト」は簡単に説明するとボートにモーターを取り付ける角度(傾き)です。
モーターをボートに取り付ける際には「-0.5度」から「3.0度」まで「0.5度刻み」で好みの角度に調整する事が出来ます。
角度を変えたい時には「チルトアジャスター」と呼ばれる部品で調整します。
競艇では基本的にチルトの数字を小さくする事を「チルトを下げる」、逆に数字を大きくする事を「チルトを上げる」と言います。
競艇選手はモーターの調整具合や気温や風等の気象状況に合わせて最もモーターの力を引き出せる、自分が運転しやすい角度に調整します。
チルトを下げた時に出る影響とは?
チルトを下げる(数値を小さくする)とモーターに付いているプロペラがボートに対して斜め下になります。
そうする事でボートの先端が下向きになり、水面の接地面積が大きくなります。接地面積が大きくなるとボートが安定しやすくなり転覆する危険性を軽減する事に繋がります。
また、ボートが安定する事でスタートタイミングが測りやすくなったり、ターン性が向上して回り足が良くなるといったメリットも得られます。
しかし、水面との接地面積が大きくなる事で直線の伸びが弱くなるといったデメリットがあります。
チルトを上げた時に出る影響とは?
チルトを上げる(数値を大きくする)とモーターに付いているプロペラがボートに対して斜め上になります。
チルトを下げた時とは反対にボートの先端が上を向くのでスピードが出てくると水面との接地面積がドンドン小さくなります。
接地面積が小さくなるとボートと水面の抵抗が少なくなるのでスピードが出しやすくなり伸びが強くなるというメリットが得られます。
しかし、接地面積が小さいので安定性が悪くなった結果、ターンが難しくなります。
チルトの角度に正解はないが主流は「-0.5度」
チルト角度に正解はありません。全ての選手がその時に「最善だ」と思った角度に調整しています。実際に前日や前走では「-0.5度」だったチルドが翌日や次走に「0度」になっている事も珍しくありません。
アウトコースだけチルトを上げるという選手も少なからず存在しています。
しかし、現在の主流は「-0.5度」です。ほとんどの選手が-0.5度でレースをしています。
1つのレース場では1日12レースが行われていますが、その全てのレースのチルトが-0.5度だという事も多くあります。
現在の競艇では、伸びよりもターン技術の方が重視されている事が理由として挙げられます。
スタート後の伸びも重要ですが、各ターンマークでの旋回力で勝負しようとする選手が多くいるからです。
旋回技術は年々進化していて、最近ではほとんどの選手が「全速ターン」をする事が出来ます。
全速ターンで失敗・転覆をしないためにはボートの「安定性」が必須となる事からターン重視の「-0.5度」が主流となっています。
調整の関係でチルトを「0度」にしている選手はたまに見かける事が出来ますが、「0.5度」や「1.0度」までチルトを上げている選手は滅多に見る事が出来ません。
チルトが「-0.5度」だから悪いと考えるのではなくチルト角度で「選手が何を求めて調整しているのか」を見極めるようにしましょう。
チルトを考慮したレース予想が必要
レース結果を予想する際にチルトを無視しているという人も意外と多くいます。
ほとんどの選手が-0.5度にする事からあまりレースに影響がないと思われがちなチルトですが、チルトの変更も考慮する事で予想を制度をさらに向上させる事が出来ます。
出走する選手全員が同じチルトであれば問題はありませんが「0度」や「0.5度」に調整している選手がいるレースは注意が必要です。
まくりを狙う選手が「0度」「0.5度」に調整する
基本的には「チルトを上げる=まくりを狙っている」と考える事が出来ます。
ターン性・安定性を捨てて伸びを活かす目的は「まくり」しかないからです。
特に、アウトコースの4~6コースの選手がチルトを上げている場合は注意してください。
ダッシュスタートはスロースタートと比べると助走が長いので1マークまでにしっかりと最高速まで持っていく事が可能です。
チルトを上げて伸びを強化する事でスタート直後に内側の艇を抜いてしまおうとする時にチルトを上げる選手が増えます。
「4~6コースで平均スタートタイミングが早い選手がチルトを上げている」
「チルトを上げている選手の1つ内側の選手のスタートタイミングが遅い」
上記2点はスタート直後のまくり展開になる可能性が高くなります。
まくり展開になると内側の艇は進路が塞がれて抵抗が出来なくなるので、まくった艇の外側の艇が2着になる確率が上がります。
3号艇がスタート直後にまくった場合は「3-456」
4号艇がスタート直後にまくった場合は「4-56」
という形がセオリーとなるので覚えておくと良いでしょう。
「1.0度」以上は1着または着外が多い
1年に1回見る事が出来るかどうかのチルト「1.0度」以上は、基本的に「1着」または「着外」のどちらかになる可能性が高くなっています。
チルト0度であればターン性と伸びのバランスを取ったと考える事も出来ますが、1.0度以上になるとかなりターンが難しくなります。
スタート直後に内側の艇をまくる事が出来なければ1マークで他の艇に置いて行かれる事も珍しくありません。
購入点数を減らしたい、削りたい場合にはチルトを大きく上げている選手の2着3着を切るのが優先となります。
また、最大であるチルト「3.0度」は普段の調整・運転とは全く異なるテクニックが必要と言われているのでさらに着外の可能性は高くなります。
チルト1.0度以上の選手は「まくりしか考えていない」もしくは「何かを試している」と考えても問題ありません。
まとめ
競艇のチルトは各選手が好みに合わせて調整する事が出来ます。
-0.5度は「ターン重視」、0度は「バランス重視」、1.0度以上は「伸び重視」と覚えると良いでしょう。
主流の-0.5度以外の角度に調整している選手がいる場合は、まくりを狙っている可能性が高くなるのでしっかりと予想に反映させると的中率や回収率の向上に繋がるかもしれません。