競馬の出走表を見ると各馬には「牡馬」「牝馬」「セン」のいずれかが記載されています。

牡馬は、人間で例える男性、オスの競走馬の事を指します。

競馬での牡馬にはどんな特徴があるのか、性別はレースに影響するのかといった点が気になっているという人も多いと思います。

今回は、牡馬について簡単にまとめてみました。

牡馬とは?

競馬では基本的に牡馬を「ぼば」と呼びます。中には「おうま」「おすうま」と呼ぶ競馬ファンも少なからず存在します。

また、専門用語として「種牡馬(しゅぼば)」と呼ぶ事もあります。

出走表の性別に記載されている「セン」は、去勢している牡馬の事を指していて正式には「騙馬」という漢字となりますが、漢字が複雑で難しい等の理由から読みやすい「セン」という記載していると言われています。

日本の牡馬は成績を残す事が重要

競走馬としての牡馬は、優秀な成績を残す事が重要です。

G1等のグレードの高いレースを優秀している牡馬は、種牡馬として子孫を残す事が出来ます。

競馬はブラッド・スポーツと呼ばれているぐらい「血統」が大切になる競技でもあります。

実際に過去・現在で活躍した名馬の多くは父母も好成績を残しています。

また、当該馬の成績が悪い場合でも両親や兄弟が好成績を残していれば種牡馬になる可能性もあります。

種牡馬は1頭で複数の牝馬に種付けを行う事が出来るといった特徴があり、繁殖牝馬と比べると種牡馬の数は圧倒的に少なくなっています。

レースから引退した牡馬の中で種牡馬になれるのは限られた一部だけとなっています。

牡馬からセン馬になる理由

ほとんどの牡馬は、牡馬のまま引退します。しかし、現役の競走馬でありながら去勢してセン馬になる馬も少なからずいます。

去勢をする理由の多くは「気性の荒さ」です。牡馬として生まれて調教をしても気性の荒さが改善されない場合があります。

気性が荒いとレース前に落ち着きがなく暴れてしまいスタミナを無駄に消費したり、レース中にジョッキーの指示に従わなくなります。

気性の荒さが原因で思うように成績が残せない時に去勢をして牡馬からセン馬にします。
「レガシーワールド」や「マーベラスクラウン」といった強いセン馬が活躍しました。

1着率と性別は関係がない

牡馬の方が強い、牝馬の方が強いといった議論で盛り上がった事がある競馬ファンも多いと思います。

しかし、実際のデータを見ると1着率と性別はあまり関係がない事が分かります。

特に重賞での1番人気になると牡馬も牝馬もほぼ同じ成績を残しています。

レース結果を予想する際は、性別よりも当該レースの傾向や各馬の血統・レース適正を考慮した方が無難だと言えます。

重賞の1着率は変わりないが2番人気以下は牡馬が強い

重賞の1番人気1着率に性別の偏りはありませんでした。しかし、2番人気以下になると牡馬の方が好成績を残しやすい傾向があります。

牡馬と牝馬が同一のレースに出走する際、牡馬は牝馬より2kg重い斤量を背負わされます。

それでも、牝馬より牡馬の方が好成績を残しているというデータから基本的な能力は牡馬の方が高いのでは?と言われています。

しかし、有名な調教師の人が牡馬と牝馬の性別による能力差はないという持論を語る等、牡馬と牝馬の基本的な能力の高さは競馬ファンの永遠の議論となりそうです。

夏は牝馬の方が強い

性別による斤量の違い等からも分かるように基本的には牝馬より牡馬の方が能力が高いと言われています。

しかし、競馬には「夏は牝馬」という誰もが知っているセオリーがあります。

夏に牝馬が強くなり、牡馬が弱くなると勘違いしている人もいますが、実は牝馬が活躍しやすい条件が揃ったレースが多くなっているだけだったりします。

夏競馬は、ダートコースのレースが減りその分芝コースのレースが増えます。

さらに、上り坂が少ない競馬場でのレースも増えます。

また、夏は最高グレードのG1レースが行われない事から強い競走馬の出走機会が減りさらに牝馬が活躍しやすくなります。

同じぐらいの能力・強さの牡馬と牝馬が同じレースに出走する際、夏だから牝馬という理由だけで牡馬を切ってしまうのは危険です。

季節による性別の善し悪しはないと考えて予想した方が無難です。

牡馬が強いレースの特徴とは?

夏は牝馬に有利な条件のレースが多いと聞くと「牡馬が有利な条件のレースもあるの?」と疑問に感じると思います。

基本的には、平均的な強さの牡馬と牝馬であれば牡馬の方が強い、平均的な強さの牡馬と少し強い牝馬で互角に戦えるようになると言われています。

牡馬と牝馬の競走成績を細かなデータに分けると「ダートコース」は、牡馬の方がより良い成績を残す傾向があります。

馬場状態の良いダートレースは、コース上の砂がサラサラとしている事からしっかりと踏み込むパワーが必須となります。

スマートな馬体が多い牝馬よりも筋肉量の多い牡馬の方がダートコースは有利だと言えます。

もちろん、性別だけではなく各馬のダートコースへの適正やレース距離等でレース結果は変わってきますが、全く同じ能力の牡馬と牝馬がダートコースを走る場合は牡馬の方が有利となっています。

また、芝コースも長距離レースは牡馬の方が好成績を残しています。

短距離レースは、スタミナよりも瞬発力が重要になるのでスパートをかけるタイミングによっては牝馬が格上馬に勝つ事も珍しくありません。

一方、長距離レースは瞬発力よりもスタミナが重要になり、距離が長い程各馬の実力差がハッキリしてきます。

上記で解説した通り、基本的な能力は牡馬の方が高くなっています。

基本的な能力にはスタミナも含まれていて、牡馬は牝馬よりスタミナ切れをしにくい傾向があります。

実際に、長距離レースの過去優勝馬を見てみると牡馬の割合が多いレースが多々あります。

しかし、近年では長距離が得意な血統を持った牝馬が増えているので、牝馬だから長距離が苦手だと判断するには辞めておきましょう。

牡馬が強いレースとは少し異なりますが「混合戦に弱い牝馬」も少なからず存在します。

牝馬限定戦では、牡馬顔負けのパワフルなレースをしていたのに混合戦になるとその片鱗を垣間見る事が出来ないといったケースがあります。

近況レースで好成績を残していても実は混合戦が苦手な牝馬もいるので「出走する牝馬の混合戦の成績」も忘れずチェックしましょう。

まとめ

競馬の牡馬は、基本的な能力であれば牝馬よりも優れている傾向があります。

しかし、重賞の1番人気の結果だけ見ると牡馬と牝馬に大きな差はありませんでした。

ダートコースや芝の長距離レースであれば牡馬が若干有利な傾向となっていますが、

牡馬・牝馬だからといって馬券から外すのではなく、当該レースの傾向や各馬の血統・過去成績を考慮した予想をしてみてください。